2008年11月2日放送
人にやさしい自然塗料
シックハウス症候群という言葉をご存知ですか?住宅を建てるときに使われる塗料や接着剤の成分が原因で、まれに頭痛や喘息などの症状がでることです。塗料や接着剤に含まれる化学成分が原因だと考えられています。そこで、米ぬかを原料にした自然塗料が人気を呼んでいます。「キヌカ」と呼ばれるこの塗料は、石川県小松市で農業を営む長田竜太さんが考案し特許を取りました。長田さんは、玄米を精米する時にでる米ぬかを何かに利用できないかと考えていました。年間3.5トンも処分していたからです。そこで思いついたのが、木の床に塗ること。昔から、米ぬかを木綿の袋に入れて床を磨く習慣がありました。米ぬかに含まれる油成分が木を保護し、自然な艶をあたえるからです。そこで長田さんは、化粧品作りの方法を応用して米ぬかから上質な塗料を作りました。塗り方も簡単。布に含ませて木に塗るだけです。臭いも無く安全。小さな子供がいる家庭や、保育園などで使用されています。「キヌカ」のお問い合わせは、「日本キヌカ」03−5641−3994まで。


2008年11月9日放送
がんの陽子線治療
放射線の一種である陽子線(ようしせん)を使って、がんを効果的に治療する施設が、郡山市にできました。エックス線やガンマ線を使ったがんの放射線治療は、患者に痛みなどを負担を与えず副作用も少ないため、広く行われています。放射線治療は、がん細胞に放射線を何度も照射してがん細胞そのものを死滅させる治療方法です。しかし放射線治療は、健康な細胞や臓器に悪い影響を与えてしまう可能性があるので、照射する方法を工夫するなどして治療が行われます。陽子線を使うと、体の表面から一定の深さで最大の効果を出すことができるので、これまでの放射線治療よりも効果的に治療ができます。民間の施設としては全国で始めて完成した「南東北がん陽子線治療センター」(024−934−5322)を紹介します。

2008年11月23日放送
接着剤はどうしてくっつくの?
のりや瞬間接着剤、合成のりなど、接着剤には様々な種類があります。でもどうしてくっつけることができるのでしょうか?接着剤の種類がたくさんあるように、くっつく仕組みもいろいろです。でも、多くの接着剤は「分子間力」(ぶんしかんりょく)でくっつくと説明できます。分子と分子をすごく近づけると「分子間力」が発生し、ふたつは引き寄せあいます。しかし分子間力は、分子が隙間なく整列している状態で発生します。分子間力をプラスチックの板を使った実験で紹介します。また、変った接着剤として、電気を流すときれいにはがれる電気剥離(はくり)接着剤を紹介します。とても強い力でくっつくのに、接着面に弱い電気を流すだけで簡単にはがれます。この電気剥離接着剤については、日本の発売元である「太陽金網」(03−3493−7864)までお問い合わせください。

2008年11月30日放送
水車発電で食害予防
長野県須坂市の農家は、農作物をサルやイノシシに食い荒される被害に、長年悩まされてきました。しかし、去年登場した新兵器で被害が激減しました。それは、信州大学環境機能工学科の池田敏彦教授らの研究で実用化された水車発電による電気柵です。畑の周囲に張り巡らせた柵の上下には、弱い電気が流れる電線が取り付けられています。これにさわると「びりっ」とするので、サルやイノシシが近づかなくなったのです。電気柵で使う電気は、畑の脇に流れる小川に設置した小型水車による発電でまかなっています。これなら、太陽光や風力とちがって天候に左右されることがありません。大雨が降った場合などに水の流れを妨げないように、簡単に取り外せるように小型化されています。小川は、畑や水田の近くには必ずといっていいほどありますが、水が流れるエネルギーはほとんど利用されていません。この水車発電は、山道の街灯や農業ハウスの照明などにも活用できると期待されています。